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東京都 福田章人先生

本校では,第3学年・第4学年における総合的な学習の時間の1つの活動として,地域探検を年に3回実施している。この活動は,各教科等の指導とも合わせて,子どもに「課題設定の力」と「プレゼンテーションの力」を育てていくことをねらいとしている。
本校は,東京都の多摩地区にある「多摩ニュータウン」の北端にある。広大な丘陵地帯を造成・開発した計画都市で,本校のある地区は,まだ,入居後10年の新しい地区である。近くには,原風景を残した広い公園(城山公園)がある。また,子どもの足で10分〜30分程度歩くと,昔から続いている果樹園(梨・ぶどう)や田畑,砂を採掘した跡の長い崖,用水路(大丸用水),河川(多摩川・三沢川),里山(南山)がある。
活動は,第3学年・第4学年(平成14年度は,各学年40名程度。)が合同で行っている。個々それぞれが設定した課題をグループ化し,グループごとに調査・まとめを行う。1年間の地域探検活動を経験した4年生は,3年生の面倒も見ながら活動する。その中で,3年生は,まとめや発表する力をつけていく。
教員は,いくつかのグループを指導する。2回の調査・探検の時には,地域のエキスパートや保護者にも協力してもらい,指導に加わってもらう。グループでの活動となるため,指導者が多いことが望ましいのだが,学級数が減少して,関わることができる教員が少なくなってきていることが悩みである。


今まで教材開発してきた地域を右に挙げる。第3学年・第4学年の2年間で,いろいろな地域を探検できるように,年度によって探検する地域を変えている。また,毎年行っている里山の探検は,季節を変えて実施している。1年間の間に,自然事象が中心の地域,社会事象も調査できる地域を組み合わせて実施している。 教材開発した地域探検(主な内容)
南山たんけん(里山の自然)
向陽台・城山たんけん(都市景観・自然)
平尾たんけん(店・歴史)
若葉台たんけん(街づくり)
坂浜たんけん(農畜産・自然・歴史)
大丸たんけん(歴史・自然)

これらの地域探検の中で,いくつかの観察・実験が行われる。
植物観察・野鳥観察は,地域のエキスパートに講師を要請し,指導してもらっている。探検する地域を歩きながら,出会った動植物を観察する形が多い。その中で,タンポポ調査とツバメ調査は,課題を絞った調査活動となった。タンポポ調査は,里山のタンポポを調べ,在来型・移入型のタンポポの分布を調べようとした。また,場所と花茎の長さとの関係を調べしようとした。実際に調査する日と在来種のタンポポの開花時期がずれてしまい,十分な調査はできなかったが,今後の調査活動の良い参考例となった。ツバメ調査は,近くの中学校へ行き,ツバメの種類,巣の形・数・使用状況を調べるとともに,巣に戻ってくる親ツバメの頻度を調べた。また,糞を持ち帰って洗い,中に入っている虫の足や羽などを観察した。
地域探検で行われた観察・実験
植物観察(野草・樹木)
きのこ観察
昆虫・小動物観察
水棲生物観察
野鳥観察
川・用水の水質調査
土質・岩石調査



親水公園となっていて,水面に降りられる河川では,水棲生物の採取・観察を行った。見た目以上に棲息している生物は多く,岩石の裏や水草の間に生息している様子が観察できた。水質調査を行ったグループは,橋の上からバケツを落として水を採取し,パックテストで水質を調査した。また,透明度や水温を調査した。少し離れた数地点でのデータをとって比較した。



探検地域の中には,土や岩石を調べることができる所もある。そこには,関東ロームと呼ばれる赤土や,稲城砂層と呼ばれる砂が見えている。砂層には,たまに,丸い礫が薄い層で混じることもある。また,多摩川まで出ると,河原でたくさんの石を観察することができる。この辺りは,多摩川の中流域で20〜30cmの石が多い。砂岩が多く,石灰岩・チャートが混じる。赤土や砂は,わんがけ法で,中に含まれている鉱物を観察した。おわんの中に少量のサンプルを入れ,少し水を加えて親指の腹でこする。水を何回も取り替えて繰り返しこすることで,鉱物を洗って粘土などを流す。残った鉱物を乾かして,スライドグラスにのせて双眼実態顕微鏡で観察した。鉱物の名前を確認することは難しいが,土や砂の中から,美しい鉱物が出てきて,子どもは喜んだ。
計画的な観察・実験を行うことができるためには,課題が具体的で明確である必要がある。第3学年・第4学年の子どもにとって,観察・実験の方法を見通した,具体的な課題を設定していくことはなかなか難しい。そこで,理科・社会科の指導とも合わせながら,明確な課題を設定していく力を育てていきたいと考えている。総合における課題作りでは,調査対象へのイメージを膨らませる支援,計画書の書式,計画書を修正する際の助言などを工夫した。調べたいことをできる限り予想の形で書くように書式を作り,個別に話を聞いて支援を行った。今後も,子どもが,自ら,課題を明確に設定し,自ら,観察・実験していくことができるように指導法を工夫していきたい。